夜明けまちフレンズバナー
夜のアキバは何か変だ。
街から出られないし、俺たちの本音が丸見え?!
ヤバい、これ以上知ったら、友達じゃいられない!



STORY
ノリは悪いし、冗談や下ネタも通じない。でも、その隣はとても心地いい。池袋星次にとって浜松大輝とはそう思える大事な友達だった。
しかし、クリスマスのある出来事をきっかけに気まずくなり、距離を置いてしまう。
そのクリスマスから四ヶ月後、二人は思い出の場所である秋葉原で偶然再会する。大輝と再会できたら「前の失敗を繰り返さない」と決めていた星次は、今まで通り大輝に接し、変わらない友情を確かめようとする。
ところが、それを邪魔するかのように、夜の街が一変。来ない電車。いかがわしさ全開の街並。あちこちで〈見える〉二人の記憶と本音。立て続けに起こる異変に、二人は混乱してしまう。
「こんなアキバ、俺はぜんっぜん知らねーし、認めたくねー!」
「……っておい、何でホテルに行こうとしてるんだ」
果たして二人は、このおかしな秋葉原から脱出できるのか?!


CHARACTER

キャラ紹介星次池袋星次(いけぶくろ せいじ)

24歳。秋葉原のゲームセンターで働くフリーター。
社交的で、楽しいことを第一に動く。シリアスな雰囲気や話が苦手で、極力避けようとする。
童貞を卒業したがっているが、現在も童貞歴更新中。










キャラ紹介大輝浜松大輝(はままつ だいき)

24歳。会社員。
生真面目で、冗談や下ネタが通じない。人間関係の構築が下手だが、一度親しくなるとその相手の気持ちを第一に行動しようとする。
交際経験はないが、童貞ではない。










SAMPLE
 ゆらゆら、と頭が一定のリズムで揺られている。あれ、俺いつの間に電車に乗ったんだっけ、と思ったけど、聞こえてくるのは電車特有の振動音じゃなくて、ゆったりとしたテンポの足音だ。
 重たい瞼を持ち上げてみると、真っ白な光を反射する灰色のタイルが見えた。そこを踏みしめるのは二組の爪先。一組は俺の履いている赤のスニーカー、もう一つは黒の革靴。スニーカーが全体的に薄汚れているのに対し、革靴は汚れ一つなく綺麗に磨かれている。その革靴から斜め上へ視線を寄せてみると、皺一つ見当たらない藍色のスーツと、その胸元で揺れる紺色のネクタイが見えた。
 ああ、何だ。俺、まだ大輝と一緒にいるんだ。
 すげー大輝に寄りかかってるけど……大輝は嫌がってねーみたいだし、このままでいいか。
 そう思ったら何だか力が抜けたので、また瞼を閉じる。ふわ、と鼻先を掠めたのは柑橘系のコロン。普段だったら男の匂いより断然女の子の甘い匂いの方が好きだけど、今はこの大輝の匂いがいい。すげー安心するから。
「当駅……止まり?」
 そんな俺の気持ちいい雰囲気を唐突に掻き消したのは、その大輝の声だった。
 再び瞼を上げて、声が聞こえた右斜め上を見てみる。そこにあったのは色白な男の横顔だった。一本一本の毛を綺麗に整えてある眉に、小さな目。その目の色は夜空を思わせるネイビーブルーだ。どんな時でもきゅっと一本線を作っている唇は、珍しく少し開いたまま固まっている。
 こうして見ると……大輝って結構イケメンだよな。無愛想で口下手ってところ以外は性格だっていいし。こいつが少しでも本気出せば、どんな女の子だって放っておかないだろうな……あー、眠い。
 重たくなる瞼を本能のままに閉じようとした途端、がくん、と全身が大きく揺れた。
「寝るな。起きろ」
「ん、揺らす、なよぉ……」
「星次、頼む、起きろ」
 星次、と俺の名前を呼びながら、大輝が揺さ振り続けてくる。そのしつこい振動に瞼を閉じられず、俺は大輝を睨みつけた。
「なに」
「あれ」
 再びこっちに横顔を見せた大輝の視線を追いかける。そこは俺にとっては珍しくも何ともない、アキバ中央改札口の風景だ。広々とした改札を抜けてすぐ上に掲げられている長方形の電光掲示板には、オレンジ色の文字でこう綴られていた。

   『当駅止まり』

 それだけ。どのホームの表示も同じだ。まるで夜空にぽつんと浮かぶ星みたいに、その文字だけが点滅している。

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DETAILS


著者 原田はとる
イラスト 広瀬コウ
発行日 2017年4月30日
発行者 共幻あかつき文庫
販売価格 600円

REVIEW

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高波一乱 編集者


先が気になって仕方ない!

吊り橋効果って知ってますか?
こわーい場所に二人でいると、そのドキドキが恋愛感情にすり替わっていくというアレですね。
この『夜明けまちフレンズ』には、そんな吊り橋効果が上手く使われているように感じられました。
ミステリアスな雰囲気とキャラクターの駆け引きが相まって、二重のドキドキが押し寄せてくるのです!
非日常の中で近づいていく二人の本心・・・ページをめくる手が止まらないこと受け合いです!


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天都とほる 共幻令嬢・あかつき文庫編集長


困りますよ、こういうの。
だって、読みながら何度も無表情を維持するのが無理になったんだもん!
人物二人にとってはものすごく困る、ものすごく嫌な状況なのですが、読んでいる側は笑いをこらえ切れません。原田はとるのカードの切り方に、これでもかとやられ続けます。そして最後には星次も大輝も二人まとめて、笑って抱きしめてやりたくなりました。
この変な世界(褒めてる)を生み出した発想力が作家として羨ましいです。

同じジャンルで毎作違うことをやる、これがどれだけ大変か、そして面白いか、僕は知っています。
今回も前の二作と全く違う世界でありながら、読者を裏切らないどころか、期待を上回る作品です。
原田はとる、恐るべし。


広瀬コウ



広瀬コウ イラストレーター


不器用な二人の駆け引きから目が離せません!
そして、ちょっと不思議なこの世界が良い仕事をしてくれるので「いいぞもっとやれ!」っと心の中で声をあげてしまいました。
夜明け前の繁華街が持つ独特な雰囲気は、どこか寂しく不安な気持ちになります。
それでも隣に特別な人がいてくれるのなら、素敵な景色に見えてくるのかもしれない・・・
そんな想像を巡らせながら表紙を描かせていただきました。


須藤安寿プロフ画像



須藤安寿  共幻あかつき文庫編集


この味わいはクセになる!

企画書を読んだ瞬間から「これはスゴイ!!」と惚れ込んだ、まさに編集冥利に尽きる一作。原田ワールドと呼ぶしかないワンダーランドへの入り口です。
精緻に(かつシュールに)作り込まれた世界観。長い一夜にとじこめられたふたりの口に出せない思いや、突破口を求めてあがくギリギリっぷりが、堪らなく熱くて、ほろ苦い。
男同志の友情→BLへ。その「→」にこめられた葛藤、叫び、そしてちょっとHぃ欲望にも☆、心が震えちゃいます!


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